高齢社会における交通と健康モニタリング調査

歩いて暮らせるコンパクトなまちづくりを目指して

富山市では、鉄軌道をはじめとする公共交通を活性化させ、その沿線に居住、商業、業務、文化等の都市の諸機能を集積させることにより、公共交通を軸とした拠点集中型のコンパクトなまちづくりの実現をめざしています。このため、福祉や医療、教育や文化、経済や雇用など、都市の総合力を高めるためにコンパクトシティ政策を柱として各種施策に取り組んでいます。

富山市が目指す「お団子と串の都市構造」

一定水準以上のサービスレベルの公共交通
お団子 串で結ばれた徒歩圏 都心部だけではない
全市的に行うコンパクト なまちづくり

コンパクトなまちづくり実現の3本柱

  1. 公共交通の活性化
  2. 公共交通沿線地区への居住促進
  3. 中心市街地の活性化

コンパクトシティについて詳しくはこちら(富山市Webサイト)

高齢社会における交通と健康モニタリング調査

富山市は平成28年度から、国の「地方創生推進交付金」等を活用しながら、「高齢社会における交通と健康モニタリング調査」を実施しています。

この調査は、おでかけ定期券効果の把握、高齢者の外出支援、医療費の削減、コンパクトなまちづくりへの効果などを分析する第Ⅰ期調査と、とほ活」アプリの機能を用いて、歩数や公共交通利用履歴といった交通行動や健康や日常生活に関するデータを調査する第Ⅱ期調査に分けて行われ、コンパクトシティ施策の効果検証及び新たな施策立案の基礎資料とすることを目的としています。

第Ⅰ期調査

第Ⅰ期調査は、高齢者の外出機会の創出による健康寿命の延伸を目指して開発・製作した高齢者健康増進端末機によるモニタリング調査で取得した衛星利用測位システム(GPS)による位置情報データ等から、交通行動や移動経路、まちなかにおける滞在時間等を分析し、その分析に基づく都市政策や交通政策、中心市街地活性化に資する施策の検討や、調査結果のオープンデータ化による商店街や民間企業等の来街者向けサービスの拡充を促すことを目的としました。

主な調査・分析結果

1.中心市街地滞在状況調査

平成30年7月7、8、13、15日にグランドパーキング、総曲輪バス停、グランドプラザ停留所付近で来街者に調査用端末機「おでかけっち」を配布し、取得したデータから、来街交通手段別(自家用車、公共交通)に平均滞在時間等の分析を行った。

※調査・分析対象者 179名

中心市街地滞在状況調査分析結果 (PDF 379.0KB)

2.高齢者交通行動調査【パネル調査】(第Ⅰ期)

平成28年度の調査協力者のうち同意を得た方に再度「おでかけっち」を配布し、取得したデータから、「おでかけ定期券」所有、利用の有無による歩数の経年変化の分析を行った。

また、同意を得た国民健康保険加入者及び、後期高齢者医療制度対象者の医療費を市で調査し、医療費と交通行動との相関の分析を行った。

※調査参加者 644名

第Ⅰ期高齢者交通行動調査分析結果【パネル調査】(PDF 541.1KB)

高齢者医療費調査【パネル調査】 (PDF 1698.5KB)

調査結果の公開について

本調査の調査結果については、今後とも民間事業者等に活用していただき、更なる中心市街地への来街者向けのサービスを拡充していただくことを目的として、平成 28[2016]年から令和元[2019]年までの調査・分析結果をオープンデータ化することとしました。

オープンデータは、富山市ホームページの「富山市オープンデータ」からアクセスできます。

OPEN DATA TOYAMA

第Ⅰ期調査の詳細報告書はこちらから閲覧することができます。

2015〜2019高齢社会における交通と健康モニタリング調査報告書

報告書(PDF 6MB)

第Ⅱ期調査

第Ⅱ期調査は、「とほ活」アプリの機能を用いて、歩数や公共交通利用履歴といった交通行動や健康や日常生活に関するデータを調査し、都市社会工学、医学の専門家が分析を行うことで、これまで本市が進めてきた公共交通の活性化をはじめとする、コンパクトシティ施策の効果検証及び新たな施策立案の基礎資料とすることを目的としています。

主な調査・分析結果

1.富山市民等交通と健康モニタリング調査

令和3年9月17日(金)、18日、24日、26日、10月1日の5日間に中心市街地において、来街者に自身のスマートフォンに「とほ活」アプリをインストールして本調査への参加を促すイベントを開催し、同意を得た参加者から10月1日~11月14日のとほ活アプリの歩数・位置情報データおよびアンケートで取得した健康情報等に関するデータの分析を行なった。

※調査・分析対象者 779名

令和3年度交通と健康モニタリング調査調査分析要旨 (PDF 3833.5 KB)

2.高齢者交通行動調査【パネル調査】(第Ⅱ期)

平成28年度、平成30年度の調査協力者のうち同意を得た方にとほ活アプリがインストールされた端末を配布し、取得したデータから、「おでかけ定期券」所有、利用の有無による歩数の経年変化の分析を行った。

また、同意を得た国民健康保険加入者及び、後期高齢者医療制度対象者の医療費を市で調査し、医療費と交通行動との相関の分析を行った。

※端末調査参加者 164名 医療費提供 261名

第Ⅱ期高齢者交通行動調査分析結果【パネル調査】 (PDF 2685.1 KB)

3.令和6年度調査に向けたとほ活アプリの機能強化

「第Ⅱ期 交通と健康モニタリング調査」の完結に向け、「とほ活アプリを用いた交通と健康の『見える化』事業」の実践をめざし、とほ活アプリに歩数などの交通行動指標と身長・体重などの健康指標や社会関連資本指標のデータの「見える化」を行い、交通と健康の相関関係に加え、居住環境と富山市民の健康度・幸福度との関連を明らかにすることを目的に、とほ活アプリの機能強化を行なう。

令和5年度交通と健康モニタリング調査アプリ機能追加資料 (PDF 371 KB)

調査・研究結果の活用

■おでかけ定期券の効果検証

  • 「おでかけ定期券を所有している人」は「おでかけ定期券を所有していない人」と比べ、1日の平均歩数が 多く、中心市街地への来訪頻度が多く、滞在時間も長く、医療費が少ないことが分かりました。
  • これより、おでかけ定期券に関するこれまでの取組みは、効果があると評価することができました。

■おでかけ定期券の更なる利用促進と賑わいづくり

  • おでかけ定期券の取得、利用を更に向上させることで、外出機会、外出時の歩数の増加を促進し、高齢者 のみなさまの健康増進や医療費の抑制を図っていきます。
  • また、高齢者をはじめ多くの方に中心市街地へ公共交通を利用して来訪してもらえるよう、トランジット モールをはじめとした中心市街地の賑わいづくりに取り組みます。

■歩数及び居住地と医療費の関係検証

  • 高齢者のパネル調査結果から、1 日平均歩数の多い人ほど医療費が少ない傾向であることが分かりました。また、富山市の「お団子と串の都市構造」のお団子地区内に居住している人の平均医療費が少ないことが分かりました。
  • これらの結果を踏まえ、「お団子と串の都市構造」の確立に向けた取組みを進めていきます。

■新たな施策の推進

  • 富山市では「歩くライフスタイル」を定着させる施策を推進しています。
  • 歩行や公共交通の利用を促す「とほ活アプリ」の充実など、新しい施策の検討・推進に活用します。