居住区域と社会関連資本指標・健康・幸福度の調査(令和6年度)
令和6年度は、とほ活アプリを活用して歩数などの交通行動指標と身長・体重などの健康指標や社会関連資本指標のデータの「見える化」を行い、交通と健康の相関関係に加え、富山市のまちなか及び中心市街地の居住環境と富山市民の健康度・幸福度との関連を明らかにしました。
とほ活アプリを通じたお知らせ、モニター募集イベントや一般社団法人トヤマチミライ が主催するあおぞら会議を通じ 1,856 人にご協力をいただき、有効回答率は95.5% (1,772人)となりました。
調査結果のマッピング
本調査は富山市を「まちなか」「公共交通沿線」「その他」の3地域に分け、各地域の調査結果を富山市の地図上に重ね合わせました。
さらに一般的な地域の区分として「中学校区」で調査結果を切り分け、昔ながらの地域の特性と住民の特性を把握しやすくしました。
まちなか | 富山市まちなか居住推進事業補助対象区域 |
---|---|
公共交通沿線 | 富山市公共交通沿線居住推進区域 |
その他 | 上記以外の地域 |
本調査では富山市内の454郵便番号街区居住者が登録されたため、各居住推進地区のレイヤーと重なる郵便番号街区を選びました。まちなか居住推進区域と公共交通沿線居住推進区域の両方と重複する場合は、まちなか と判定しました。
調査結果マップ
調査で得られた結果と国勢調査等の情報を「幸福度」「住まい」「おでかけ」「健康」に分類し、地図上にマッピングしました。
主な調査結果
■ ウェルビーイング調査
デジタル庁が開発したウェルビーイング指標の「幸福度」、「地域への満足度」をアンケート調査により計測し、地域ごとで比較分析しました。
幸福度、地域への満足度ともに、まちなかが最も高く、続いて、公共交通沿線、その他となりました。
本調査と富山県のウェルビーイング指標の比較
本調査結果 | ||||
---|---|---|---|---|
まちなか | 公共交通 沿線 |
その他 | 富山県 | |
幸福度 | 7.1 | 6.9 | 6.7 | 6.2 |
地域への満足 | 7.1 | 6.7 | 6.4 | 6.0 |
また、デジタル庁による令和6年度の全国Well-Being調査結果によると、富山県全域の幸福度の平均値は6.2、地域への満足度の平均値は6.0でした。
「とほ活」アプリの利用者は富山県平均よりどちらも高く、アプリの利用が歩く意識の向上や外出のきっかけとなり、ウェルビーイングを引き上げている可能性も推測されます。
高齢者のウェルビーイング

■ 歩数の状況
「とほ活」アプリから令和6年10月1日(火)〜10月31日(木)の歩数データを収集し、性別の登録があった1,545名で男女別に集計を行いました。
歩数と居住地における関連性
男性は平日、公共交通沿線の歩数がまちなかやその他より多く、休日はすべての地域で平日より歩数が増加しました。その結果、公共交通沿線とまちなかの有意差はなくなり、まちなかとその他、公共交通沿線とその他の差が有意となりました。なお、休日に最も歩数が伸びたのは まちなかとなっています。
一方で、女性は平日と休日の歩数に差はなく、居住地間の差もありませんでした。


歩数と健康指標における関連性
アンケートにより、健康状態や精神的ストレス、睡眠の質に関する調査を行い、それぞれの結果と歩数との関連性を分析しました。
歩数と健康状態の関連性

歩数と精神的ストレスの関連性

歩数と睡眠の質の関連性

健康状態に問題がある人は、問題がない人と比較し、1日の平均歩数が少ないことがわかりました。
また、ストレスや睡眠の質についても、平均歩数が多い人ほどストレスをあまり感じておらず、睡眠の質が良いことが分かりました。この有意差については特に男性が顕著に現れました。
歩数と居住地や健康指標との関連性ににおいて、男性は有意差がありましたが、女性は有意差がありませんでした。今回の調査では、その因果関係を結論付けることができないため、要因の追及が今後の課題として残りました。
年代別の平均歩数
「とほ活」アプリで収集した歩数データより、1日の平均歩数を年齢別で算出し、比較しました。

男性も女性も60歳代の平均歩数が最多となりました。男性は30歳未満が有意に少なく、そのほかの年代では有意差がありませんでした。女性については60歳代は他のどの年代と比較しても有意に歩数が多いという結果になりました。
ウェルビーイング指標同様、おでかけ定期券による外出機会の創出が歩数の増加に影響を与えている可能性が推察されます。
■ イベント参加状況
対象者1,772名のうち、320名(18.1%)が、「とほ活」アプリが指定するイベントに来場しQRコードを取得していました。
QRコードの取得率を地域別で比較すると、イベントの開催場所に関係なく、まちなかが最も多く、次に公共交通沿線、その他の順となりました。また男女における差はありませんでした。
まちなか

公共交通沿線

その他

■ 社会関連指標の分析
アンケートにより、居住環境や生活環境などの社会関連指標の調査を行い、各地域において比較分析をしました。
質問項目のうち、産まれてから同地区に居住している、家族構成、犬の飼育、世帯収入、教育歴、自動車運転免許の所有、自家用車所有台数、平日の外出目的、休日の主な行き先に3地域間の割合に有意差がありました。
産まれてから同地区に居住している割合
産まれてから同地区に居住している割合はその他が、まちなかや公共交通沿線と比較し多いことが分かりました。このことから、転居あるいは移住する場合は、まちなかや公共交通沿線区域を選択する割合が高いことが推測されます。
まちなか

公共交通沿線

その他

家族構成
ひとり暮らしの割合は まちなかが最も高く、生活施設や交通手段の豊富さなど、利便性の高さから選ばれている可能性があります。
まちなか

公共交通沿線

その他

自家用車所有台数
まちなかは所有台数が0台と1台の割合が高くなっています。ひとり暮らしが多いことの考慮は必要ですが、まちなかでは自家用車がない、あるいは少ない台数でも生活が十分可能なことが推測されます。
まちなか

公共交通沿線

その他

自動車運転免許の所有
まちなかは自動車運転免許を保有していない割合が高く、自家用車所有台数同様にまちなかでは自家用車がなくとも生活が可能なことが推測されます。
まちなか

公共交通沿線

その他

教育歴
まちなかは大学・大学院卒業の方が多く、学生時代に過ごしたまちなかでそのまま生活を続けている可能性が推測されます。
まちなか

公共交通沿線

その他

世帯年収
大きな差は見られませんでしたが、まちなかは1,000万円以上の高所得者が多い傾向にありました。
まちなか

公共交通沿線

その他

犬の飼育
犬の飼育はその他の地域が最も多く、散歩などでの歩数の増加が考えられます。
まちなか

公共交通沿線

その他

平日の外出目的
平日の外出目的は まちなかが最も買い物、散歩・散策が多く、まちなかは買い物のしやすさや散歩に適した環境であることが窺われます。
まちなか

公共交通沿線

その他













休日の主な行き先
まちなかは他の地域に比べ、デパートへの割合が高く、ショッピングモール、スーパーへの訪問が少ないことがわかりました。
まちなか

公共交通沿線

その他













平日と休日の外出目的・行き先の割合は下記の表のとおりです。
平日の外出目的

休日の主な行き先
